俳句の作り方 春時雨の俳句

をんな傘さすや猫背の春時雨  伊庭直子(いばなおこ)

「春時雨」ハルシグレが春の季語。

この句はネット公募のHAIKU日本で2022年令和4年に秀逸を獲った作品です。

 

 春の昼、雨が降ったりやんだりしています。

句作に励んでいましたが、なかなか良いアイデアが浮かびません。

ぼんやりと窓の外を眺めていると、赤い傘をさした老人が

かがんで左から右へと歩いていきました。

さあ、これを詠もう。

 

 ①をんな傘さし猫背の春時雨

これでは句に張りがありません。

切れ字がないせいです。

②をんな傘さし猫背春時雨

リズムが良くありません。

が説明臭い。

③をんな傘さす猫背春時雨

完成しました。

をんな傘さすや猫背の春時雨  伊庭直子(いばなおこ)

 

 ところで、佳作には選者の評が掲載されませんが、

秀逸・準特選・特選・大賞については掲載されます。

したがって、選者『河』誌の副主宰、鎌田俊氏の評を紹介します。

 

 『「春時雨」の一日。時雨と言えば冬の季語で冷たい雨が降りかかり、

どこか侘しさを感じさせますが、春時雨には明るさや艶やかさが

あるように感じます。

中七の途中の切れが、この句の強さと心地よいリズムを生み出しています。

敢えて小ぶりな「をんな傘」と詠み、傘を差す人が雨をよけるように

少しかがんだ姿をしっかりと浮かび上がらせています。

雨の中を行く男性の姿であろうと想像させ

何とも言えぬ詩情溢れる作品です。』

 

 お褒めの言葉をいただきました。

まさかこの句が秀逸に選ばれるとは思ってもみませんでした。

HAIKU日本には4月に9句、5月にさらに3句応募しました。

この9句から、をんな傘さすや猫背の春時雨が秀逸に選ばれ

後の3句から佳作が選ばれました。

投句料は4000円にのぼりました。

まあ何はさておき、めでたしめでたし。

 

 

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